Jericho's Echo

こんにちは。
最近色々なことをちょこちょこやっていて、書かずじまいになってしまっている。ふぇ。天気もようやく春らしくなったと思ったら昨日は雪が降り出すし、なかなかスカッと晴れないですね。最近のことをちょこっとちらっと書いてみましょう。

Jericho's Echo


http://www.jerichosecho.com/
月曜日、一晩限りでイスラエルのパンクシーンを扱ったドキュメンタリーが上映されたので行ってきた。これがかなり、面白かった。2年前に作られたこの映画は、アメリカ人女性の監督がイスラエル各地のバンドやパンク音楽のレーベル関係の人達にインタビューしながら進められる。インタビューの内容は、だいたい同じ内容の質問を各バンドにして、それぞれのバンドの考えを繋げて見て比べるような形式。質問内容は、ユダヤ人であること、パンクであるということ、兵役のこと、そしてパレスチナイスラエル−アラブ対立のこと、等。兵役前の若い子達でも、しっかりと意見を持っている人が結構いる、ということに少し驚いた(男子の兵役は、18歳から21歳までの3年間)。たった一握りの人達だけど、音楽を通して本当に何かを変えようとしている彼らの姿を見れてすごく嬉しかった。
バンドの多くのメンバーは兵役を終えたばかりか兵役前の「少年」という感じ男の子たちで、イスラエル訛りの英語で話す様子にとっても愛嬌がある。痛いな、と思ったのが、ほとんどの人達が、様々な問題について話しながらも、すごく明るくて楽しい。ゲラゲラ笑いながら、次の瞬間には気持ちが沈んでしまう、っていう場面が何度もあった。自爆テロで友達を失ったあるバンドのメンバーが“It's fucked up.”って笑顔で話しているところなんかを見ると、言葉が出ない。
彼らの中ではイスラエル政府の政策に反対している人がほとんどで、アラブとの対立について話すとき、「パレスチナでの占領」、と言う。中にはイスラエル国家主義ぽい人もいて、「自分たちにはイスラエルていう土地しか住む場所がない。アラブは他の国にいけるけど。」と言っていた。ここで、そんなお粗末な、と言ってしまっていいものかすごく考えたのだけど、まだわからない。きっと他の多くのイスラエル人が同じことを言うだろう。
18歳以下の人達の多くは、兵役拒否をする予定らしい。で、軍隊に入りたくない、という人達は入隊前に全員がやる身体/精神検査のときに「精神異常」(=兵役が出来ない)と診断してもらう。精神異常という肩書きが自分の身分証明書に残る。将来仕事を探したいときに大きな支障になる。要は検査のときに意図的に精神異常という診断をしてもらうそうなんだけど、「軍隊に入りたくない、って思う時点でもう精神異常ってみなされちゃうからね。」って一人の男の子が言う。これはすごく、重いと思った。18歳になる以前にこういう選択をしなければいけない。でもほとんどの人は、選択というオプションさえ考えずに過ぎてしまうのかな、と思う。
最後のほうで、ある一人が、「イスラエルはすごく小さい国だから、何か変えよう、と思って行動すると本当に何か変わるような気がする。そういうのが見えやすい。」みたいなことを言っていた。とってもとっても楽観的な笑顔だった。その顔がすごく印象的だった。
小さい国と言いますが本当に小さく、パンクシーンにいる人達も、皆知り合いばかりみたいです。旦那やロニットちゃんの昔の友達や知り合いが沢山出ていて面白かった。テルアビブ、エルサレム、ハイファ、とベルシェヴァという街でそれぞれのシーンが盛んなようです。ライブ映像も沢山出ていたけど、格好良いバンドが沢山。いいドキュメンタリーだったな。