Threepenny Opera

金曜日、三文オペラをついに見てきた!ついに、というか私の人生の中でこんなにもいきなりこの舞台を見られる機会がやってきたとういことは、幸運でした。。。ブロードウェイなんて笑顔やハモリがいっぱい過ぎて鼻の穴が痒いわっって思っていたけれど、パークアヴェニュー在住のおば様方に混じって、初ブロードウェイ体験しましたわ。すいませんね開演前に汚い格好で余ったチケット売ろうとして。いやいや、とにかく、素敵だったんです。。。生演奏でクルトワイル!!!

これは、ドイツで1928年に劇作家ベルトルト・ブレヒトと作曲家クルト・ワイルが共同で作ったミュージカル。今回のはScott Elliottという人が監督して、ブロードウェイで上演されるものとしては5つ目の3文オペラらしい。舞台はロンドンのソーホーで、盗賊団の頭であるマクヒースが普通の女の子と結婚してしまったことで警察に捕まってしまう。その前後にはマクヒースの昔の女達が色々絡んできて。。。そういう物語の中にちょっとした社会批判も混ざっていたり、笑いも沢山ある、いわゆるコメディー。何より、クルト・ワイルの楽曲が最高に素敵。。。曲のテンションの上下で、小洒落た人達の生活や、その裏側の小汚いソーホーの一角が鮮やかに見えてくる。悲しくて、でも歌詞や台詞のあちこちに可笑しい言葉が沢山出てくる。衣装も汚らしくてセクシーで、気品がある。衣装はアイザック・ミズライヒがやったそうです。
盗賊の頭(マクヒース)を演じるのはアラン・カミング。存在そのものがセックスアピール満々の彼には、かなりはまり役だと思った。盗みを“ビジネス”と呼んで、まさにソーホーの地下犯罪組織を操っているその彼と恋に落ちて結婚するのは乞食を扱う会社(?)の娘のPolly(ポリ!)。Pollyは、無垢な可愛らしいキャラクター。その彼女がソーホー中で指名手配中のマッキースと結婚してしまったってことでパニックになるPollyの両親。
。。。とこうやってあらすじを書くのもアレなんで、食いつまんで書きます。

マクヒースの前の女

“ザ・前の女”として登場する娼婦Jennyを演じるのは、シンディ・ローパー。彼女は凄いなぁ。。。涙。なんたってシンディ・ローパーなので、彼女の出す高音を聞けただけで、満足です。小さい体で存在感もたっぷりだし。歌が凄いのはもちろんだけど、演技も迫力たっぷりだった。俳優さんの中には、イギリス英語で話す人が多かったんです。アラン・カミングはじめブリティッシュの人が結構居るし、舞台がロンドンっていうのもあって、イギリス訛りを作っている人も居た。けど、シンディは、にゃーにゃーにゃーという感じの生粋のニューヨーク英語で喋る。なんだか、娼婦としての雰囲気が増すのね。気合が入っててかなり良かったです。
もう一人の“前の女”、Lucyを演じていたのはメール・ソプラノの男の人だった。キャストの中では、一番本格的なクラシカル・スタイルの歌を歌える人だった。もう、びっくり。台詞は、よくいるネチネチしたおかまさんの口調。汚い言葉もたっぷり聞けて笑いが絶えん。でも歌いだすと天井を突き破りそうなソプラーノ。。。ぎゃー。お客みんなが度肝抜かれた俳優さん(というかキャスティング)だったと思う。彼の名前は、Brian Charles Rooneyさんというのだそうです。
とにかく、すごくよかった。好きってわかっていたものなのにあまりにも素敵で驚いて、ダブルハッピネスでござんした。ほんと、気持ちのいい音楽だったし。。。
この劇の社会的な批判を含む部分、っていうのも、クリシェにならない程度に現れててとても面白かった。マクヒースが言う、「銀行から盗む者と銀行を建てる者、どっちの罪が重いのか」というようなメッセージも、こんな華やかなブロードウェイの舞台上で発されている言葉、ていうのがとても皮肉で、なんか、そこまで資本主義どうのこうの考えさせられるまでもいかなかったけれど、ぎくしゃくした空気がそこには確かにあった。で、そうやって、笑えるんです。まあ、いっか。。。
3文オペラの英語のサイト: http://www.threepennyopera.org/ (オープニングの音楽もお楽しみください)
今回の公演のサイト: http://www.3pennyonbroadway.com/