イスラエルその1

週末ゆっくりしすぎました。土曜日はチャリを直してもらうついでに近所を散策して、ギリシャ系のマーケットでコーヒーを沸かす鍋を買った。ちょっと大きめのを。日曜はひどい雨で、ひたすら家で読み、食べ、寝、コーヒーを3回ぐらい淹れてゆっくりしました。イスラエルから持ってきたコーヒーが非常にうまい。細かく挽いた豆を小さい鍋で沸かして飲むコーヒー。泥コーヒーとか、トルココーヒーとか、アラブコーヒーとか、色んな呼ばれ方する、あれです。イスラエルでは『ブラックコーヒー』(kafe shachor)といえばこのコーヒーのことです。うちのはカルダモン入り。淹れ方がちょっと難しいのだけどだんだんうまくなってきた気が。

今回のイスラエルへの旅は、家族と友達に会うという計画で、6日間と短かったんだけど、ひそかにパレスチナにちょっと行こうと計画していた。ランの家族には秘密にしなければ(きっと猛反対される)ってことで1日だけ日帰りでランにエルサレムのどっかに車で降ろしてもらって、一人でタクシーでも乗って行ってみようって思ったのだけど、結局エルサレムに行く時間もなかった。ランにも、一人では行ってほしくないと言われてしまったし。次回は、もっとちゃんと計画してたっぷり時間をとって行きたいな。イスラエルって小さいし、ちょっと時間があればどこでもいけちゃう、って甘く見てしまうんだけど、(最初の頃は街から街への移動距離の短さに驚いていたけどもう慣れてしまった)いざパレスチナに行こうと思ったら検問所を通るのに時間がかかるとか、まず街を全然知らないこととか、頭に入れてなかったから。。。でも、西岸なら、外国(=もちろんイスラエルと国交のある外国)のパスポートがあれば普通に行ける。 ランの家族に反対されるのは、やっぱりイスラエルのメディアの中でパレスチナ内での悪い出来事ばかりが拡張されているからですよね。それだけが理由ではないけど、ランママもパパも、政治的に反アラブというわけではない。メディアの拡張は言うまでもなくイスラエルだけでのことじゃないけど、私のような普通の人(ですよね?)でも行けるし、そんなたいしたことはないんだろう、と思う。これだけ悲しみや憎しみが生まれてる土地に行って、何しに行くのっていう重荷みたいのも感じるけど、行くだけならなんてことないじゃないか。。。。あそこは果たしてそんなに「特別な」場所なんだろうか?それぞれの土地に色んな意味での「特別」さがあるけど、パレスチナで言われている「特別」さって、どのくらいほんとでどのくらい嘘なんだろうかね。(イスラエル軍の占領下で行われている非人間的扱いや、殺害、そういうことが頻繁にある、という意味ではもちろん特別な場所だけど。)まーまだ見たことのない、新しい街を訪れるのにあんまり構えてちゃもったいないですよね。なんか結局、今回行けなかったのは表でパレスチナに対して色々言われている良くない話をのんでしまった、みたいな気がして悔しいけど。。。次回は是非行きたい!それと、今回はサボってしまったアラビア語も勉強しておこうっ。

ということで。。。今回の旅は、はじめて訪れる春ということですごく気持ちが良かった。昼間は半袖、汗もかいちゃいます。父さんも母さんも喜んでくれた。父さんの病状のこともあって、いつも電話するときはよく向こう側からイライラが伝わってきたけど、ちょっとは気晴らしになったかな。母さんのストレスもギリギリだったと思うので、なんだかガールズ・トークをいっぱいできてよかった。
今回訪れたもうひとつの理由が、ユダヤの祝日で長い連休になるということです。たくさんのユダヤ人がイスラエルを訪れ家族を訪れ、旅行をし、ゴールデンウィークのような感じでもあります。まー私たちはあまり祝日を気にしない今どきの若い人達なんだけどさ、「なんだけどさ」、みんな仕事が休みになるし、父さんの「来ないの?」の一言に押されて、ひとっ飛びかましてしまいました。
「過ぎ越し」(Passover, Pesach)とか言われるこの休日は、極めて短く説明すると、ユダヤ人が大昔にエジプトから脱出したことを祝う祝日です(ここまで簡単に書くと怒られそうだが):P。特徴のひとつを挙げると、1週間続く休日の最初の晩に、家族そろって食事をします。メニュー、食べる順序などが決まっていて、食卓でHaggadah と呼ばれる文を読み、文の内容にしたがって食べる順序が決まっている。。。とか、かなり風変わりの食事です。ユダヤ教徒の間でも、正統派かそうでないかや、どのくらい正統かによって、この晩餐における真剣さも違ってきます。私は何年か前に一度だけ、隣の州に住むランの従弟のうちでこの食事に参加したけど、何が何だかわからなく、変わってて面白かった。とにかく何度もワインをのむ、ゆで卵を塩水に浸して食べる、など、説明すればきりがないんですが、そういう象徴的な食べ方をします。
それと、過ぎ越しの数ある規則の中で一番重視されている(であろう)ことは、この1週間は酵母イースト)の入ったパンその他を食べてはいけない、ということ。パンの代わりに、多くの人が食べるのはMatzoと呼ばれる酵母のない、平たい乾いたクラッカーのようなもの。乾いた、というより乾き切ったクラッカー。あまりおいしくありません(笑)。休日の間(4月10日まで)は普通のパンもピタパン(中東料理には欠かせません)も「表沙汰には食べられない」ということで、これはかなり深刻な問題になります(笑)。NYからのフライトでパンの代わりにMatzoが出てきて、あーピタパンが食べれないんだ、ということに気づいて、焦りました。

右下のクラッカー状のやつ。。。
パンは表沙汰には食べられないので、普通のスーパーでも、小さいお店でも、ユダヤ人経営のお店ではパン売ってません。クッキーとかケーキ類もイーストが入ってればダメです。クッキーの棚とかには白いビニールをかぶせて隠してあります。ラン家も、おばあちゃん以外はパンを食べることに反対はしないものの、父さん母さんの年代の人達はやっぱり後ろめたさがあるみたいです。この感じは微妙なんだろうな。でも、後で気づいたことだけど、アラブ系のお店に行けばパンでもなんでも買えます。当たり前ですが。なのでこの時期はアラブ系のパン屋さんなどに人が殺到するらしい。

飛行機の中で「きっとお母さんが私たちのために休日前にパンを買いだめしておいてくれてるだろう」と祈りつつMatzoを頬張りました。パサッ。。。








続く