[音]Big Business、アルバニー

みなさんお馴染みのスーパーバンド、Big Businessが人気バンドToolの前座としてツアーに参加するということで、NY州の北部にあるアルバニーまで行ってまいりました。今回はMariちゃんと二人で電車の旅です。2週間ほど前のことです。
This was the way
電車の最後尾から観た風景。なんか小さい頃の多度志(地元)みたい。そのころはまだJRが通ってました。この電車はハドソン川沿いをずっと北上して走るので、車窓からの眺めが最高。
3時ごろにアルバニーに着く。せっかくの遠出ということで、ライブ前の時間を使ってその辺をぶらぶら。Mariちゃんは写真好きなのでわたしも彼女にならってなんちゃってフォトセッションをかまし、よく晴れた午後をゆっくりと楽しみました。駅から中心街まで歩いていく途中に、人っ子一人居ない公園があって、ハイウェイの橋げたの足元に、芝生がどこまでも続きます。
Has it stopped raining?
こんなかんじで、橋げたのコンクリートひとつひとつに壁画が描かれている。誰が描いたのか、どのぐらい古いのかわからないけど、なんだかとっても奇妙なものとかもあって、楽しい。

ライブ会場はToolだけあって、ホッケーの試合とかに使われるでかいアリーナ。会場に着くなり凄い数の黒Tシャツの兄ちゃん/オッサンたちが。まず感じたのが、NYCをちょっと出るだけで、人々の白さが違う。偏見がないと言ったら嘘になりますが、事実としてすごい白さなんです。(白人ばかり、ということです。)正直ちょっと怯える。NYに住んでると世界中の人々と出会うことができるし視野が広がるのは本当です。ここでは皆が外国人。逆に言うと、それがとても心地よくなるんです。そして、実は現実が見えてないということに陥るんです。どんなに多くの肌の色と出くわそうが、ここはアメリカなんです。私はアメリカ、ってものをまだちゃんと見ていないし、ちゃんと受け止められてないな、と思います。それはもちろん人々の見た目だけじゃない。たまに、ランの親戚に会いにNJ(隣の州)の田舎に行くんだけど、そこでも、目をそらしたくなるようなアメリカさがいっぱいあります。SUV、不健康な食事、コンピュータまかせの子育て、使い捨ての生活用品、Etc. 一度そういう社会に自分を放り込んでみたい、とも思う。(我ながらかなりマゾキストな行動だなとは思う)家から電車で1、2時間後にはそういう場所がいっぱいあるんだけどな。

いつものように前置きが長いですね。すいません。
えっと、
Big Businessのショウは、いやもう、最高でした。音がものすごくクリアーなのは言うまでもない。ステージも、客席も、スケールが違います。後ろを振り返ると何百メートルも離れたところから(いやちょっと大袈裟かな)自分と同じ動きをしているファンがいると思うと。ある意味これはただ生の音楽を楽しむというものからはかけ離れた体験だな、と思う。アメリカでアリーナ級のライブなんて初めて観たので、常にぞくぞくしていました。ちなみに、カメラは持ち込めないので写真はありません。前座ということで短めのセットだったのだけど、すごく楽しかった。Toshiさんのギターも、こんな音をしてたのか〜と感心してしまうぐらいすごくよく聞こえて、そしてステージから近い席だったために、Coadyのドラムさばきにまた度肝抜かれた。周りのお客さんも盛り上がってました!
Toolの出番です。
このバンドはあまり詳しくありません。最初の頃のアルバムを1枚持っていて、かっこいいな〜と思っていたけど、ガンガン燃えるほどではない。ヒット曲的なものは、たぶんラジオから聞いてかな、好きな曲が結構あります。でも正直、こんなに人気のあるバンドだとは知らなかった。
彼らのステージは、あんまり曲を知らない割には、すごく楽しかったです。ギタリストのAdam Jonesが作るビデオが背景のスクリーンに常時映されて、すごく美しくて、しばらくはそっちに釘付けでした。このバンドにはDanny Careyというすごいドラマーがいるんですが、Toolの曲じたいあまり速くないものが多いので、もうちょっと観たいな〜なんて思っていると、ライブの休憩中にもうひとつの小さなドラムセットが設置されました。そう、Big BusinessのCoadyがCareyとドラムセッションを!これはすごくなりそう。
ツインドラムでのセッションがあったのは、有名なLateralusという曲でした。もうこれは生まれてはじめてこんなすごいかっこいいものを観たという感じです。説明できません。
みーんなで、口開けて観てました。周りから草の匂いまでも消えました。ステージにはでかいドラムセットを構えた身体のでかいドラマーと、その横に小さなセットに座る、(Dannyさんに比べると)小さなドラマーが、デッドヒートを繰り広げました。感無量

ライブを観終えて、映画を観たあとのようなぽわーんとした余韻にしばらく浸り、その後バックステージにおじゃましました。トシさんとCoadyとMariちゃんとToolのスタッフの人とおしゃべりして、お酒をいただき、まったり過ごさせていただきました。楽屋は、ひんやりした部活のクラブハウスのような部屋で、妙に面白かった。
その夜、Toolのスタッフの人たちがパーテーやる、ということでそこにもおじゃましました。Mariちゃんは体調を崩してしまってご一緒できなかったのがとても残念。Toolってね、何がすごいってスタッフの数が。何でもバス2台に何十人も乗せて一緒に回ってるらしいです。音響テクニシャンから料理人、マッサージセラピストまで。そんな彼らは出会ってみると本当に楽しい人ばかりで、いい時間をすごせた。ショウの裏側にいる人たちがキラキラしているからこそ、いいものが作れるんですよね。トシさんのお人柄も然りです。まったく脱帽です。
ギターのAdam Jonesさんにもご挨拶。彼はペットの犬をツアーに連れてきており、(びっっっくり)その犬さんがまた死ぬほど可愛い。映像のこととかについてお話したかったんだけど、ワタクシはとてもシャイなので終始犬さんと遊んでしまいました。
スタッフさんのひとりに自分の職業の話をすると、すごく喜んでもらっちゃって、何か描いてちょうだいとマーカーを渡された。彼の腕に男性骨盤周辺の断面図を描いたんだけど、すごく大事なものをひとつ書き忘れてしまった。ということに後から気づいた。これからもっとまじめにお仕事しなきゃ、と思いました。

そうやって楽しい夜は過ぎていきました。

こういうショウから帰ってきて聴くBig Businessはまた格別にいいです。
Big Businessのツアーダイアリー(英語)