ジョー・ストラマー

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邦題は『LONDON CALLING ザ・ライフ・オブ・ジョー・ストラマー』というんですね。公式サイトはこちら
Joe Strummerドキュメンタリー映画Joe Strummer: The Future is Unwrittenが今夜オープンした。9時50分の上映前にまずいピザ食べて、コーヒー飲んで気合を入れ、、、たつもりだったけど目がショボショボしてるし、変に胸がドキドキして心地悪い。きっと映画が楽しみすぎておこる緊張感だったんだろうあれは。
何を期待していたんだろう。とっ始めからボロボロ泣いてしまいました。外交官の息子としていろんな国を歩き回ったJoeの幼少時代の話から始まって、The Clashの結成までの話が、丁寧に洒落を利かせながらも、すごいスピードとエネルギーで進んでいく。これは一人のミュージシャン、ひとつのバンドの伝記だけじゃなくて、その時代の政治背景やその時代に生きた人々の姿がそのまま描かれている。パンクというものがストリートに芽生え始めて、音楽、政治批判、ドラッグが大きな役割を果たす。
時に手書きのドローイングを使ったアニメーションとか、アニメ版『動物農場』の映像を交えながら、あるバンドの話だけではない何かとてつもない力を感じる映像。この動物農場の引用は、Joeが音楽を作りはじめてからThe Clashの成功、その後に至っての彼の心境の変化と重なってるんだ、と後になってわかる。
映画の柱となるのは、ジョーの友達や知り合いミュージシャンなどが焚き火を囲んでジョーの思い出話、クラッシュのライブの思い出などを語る場面。それぞれがいろんな場所で、焚き火を囲んで、ジョーがかつてDJを勤めていたBBCラジオの番組London Callingを聴きながら、という設定。この焚き火とラジオの映像の数々から、世界各地で同時にみんながジョーの音楽とジョーの好きだった音楽を聴きながら、みんな様々な思いで、一人の人のことを思って暖をとっている様子が想像できる。監督のアイデアなんだろうか。とても暖かくていいやりかただなあ、って誰もが感じる思う。インタビューには、時にはびっくりするような有名人も。。。マジかよ、って笑ってしまう(苦笑)人も出てたけど、ここはご愛嬌で。ひとつの視点に縛られていない映画ってことだな、ドキュメンタリーとして。これもジョーを思う人々がこれだけいるんだ、という証拠。
The Clashの解散から、孤独な放浪を経て、また音楽を作り出そう、とThe Mescalerosの結成に至るときの心境をジョーが話している場面があって。『クラッシュを一度も聞いたことのないっていう17歳の少年に出会って。そのときやっとまた地に足が着いた感じがしたんだ』という言葉が。(これこそ、Let's Rock Again。。。!)こういうことがこの、ジョーストラマーという人に起こっていたんだ、て考えるともう言葉がない。
Mick Jonesが2002年にクラッシュ解散後初めてジョーのステージに加わったときの映像、White Riot、圧巻でした。。。
絶対にいい音楽を聴けて、ジョーのあったかいユーモアたっぷりの話を聞けるのは見る前からわかってた。けど、それでも期待以上にとてもとてもいい映画でした。2002年12月、ジョー・ストラマーは心臓発作のため50歳で亡くなります。映画の中で誰かも言っていたけど、あんなに素晴らしい人が、いつまでもいるわけじゃないって。いつまでもそういう人や物が存在するんだ、って思ってしまうのは人間のわがままっていうもんだって。そうなのかな。ジョーの映像で見ていると、あぁこの人はほんとに居ないんだな、という喪失感がものすごく強く胸をしめつけるんだけど、この「Greed」ていう言葉がいつまでも残る。ジョーの人生を早めてしまったのは、何だったのかな、って考えると。それを憶測とかするわけじゃなく、彼の幼少時代から亡くなるまでの彼のたどってきた道を今改めて見せてもらって、最後まで彼が叫び続けた言葉を聞くと、そう、そうだよ、って自分からも同じ言葉を伝えたい、ってすごく愛しい気持ちで彼のことを考えずにはいられないんだな。

予告編:



NY のEast Village, East 7th Street とAvenue A の角にあるジョーの肖像が描かれていく様子。そして歌はJoe Strummer and the Mescalerosがカバーした、 ボブ・マーリーのRedemption Song.