うまいものとは何か=クナッファ

連休を利用して夜更かししている私です。Jamesonが冷えた体の節々に美味しい。最近は高めのウィスキーも買ってません。Jameson君はほんとうにいい友達になりました。ありがたい。
こないだ、久しぶりにビックリ仰天なレストランに行きました。Tanoreenといいまして、中東/地中海料理と題されています。サイト:http://tanoreen.com/
私は今年の夏ゴラン高原で食べたKnafah(クナッファ、またはKnafe)というアラブのお菓子の味が忘れられなくて、NYにもそういったものがあるに違いない、とリサーチを続けておりました。ブルックリンのアトランティック・アベニューという通りにある有名なアラブ食材店にはなかなかおいしいものがありました。中身は少し違うけど味はいい。うちの近所にも中東や北アフリカ系レストラン、カフェ、お菓子屋さんが立ち並ぶ一角があって、そこに買いに行ってみたりもしました。
このお菓子、薄っぺらく丸くて、まぁピザまるごと1枚のような形をしてるんですが、何でできているかっていうと、細く細く刻まれたパイ生地(Shredded Fillo Dough)のようなものの上に、ヤギのチーズがでん、と乗っかって、その上にオレンジ色の細く刻まれたパイ生地、その上に細かく刻んだピスタチオ、そしてとどめは甘い甘いシロップが上にかけられます。シロップは言うまでもなく全体にしみこみます。作り方は、たぶん火にかけた丸い鉄板の上で、それらの層をひとつずつ乗せながら、チーズがとけたぐらいのところで出来上がり。なので暖かい状態でいただきます。甘いんだけどチーズのしょっぱさもあって、なんともいえない美味しさなんですよ〜。やっぱり好き嫌いはあるみたいだけど。
そうそう、そうやってリサーチを続けるうちにたどり着いたのがこのレストランTanoreen。なんとここではできたてクナッファが食べられるという。しかもネット上の人々の話では相当美味しいごはんを出すみたい。んん行かなきゃ。。。
場所はブルックリンの南にあるBay Ridgeという地域。一度探検しに行ったことがあったけど、うちからだと結構遠い。寒い中4人でレストランに駆け込むと、にぎわってます。かろうじて空席あり。アラブ料理ですきなことのひとつは、小さいサラダ系のものやパンにつけるもの等の前菜が多いこと。数々の誘惑に打ち勝って、ここはフムス、ババガヌーシュ、ファラフェルの3品を注文。フムスを一口食べたら、涙が出そうなぐらい美味しい。あぁ、ここにあったのか。
ファラフェルも、ラン曰くイスラエル以外の場所で(周辺諸国で食べられないというのは不幸にも事実ですが、まあそれは不幸なのは誰かということにもなるけど。。。)食べたファラフェルで、いちばん故郷のに近い、と。彼のあんなに嬉しそうな顔を見たのは久しぶりでした。
そしてメインで頼んだのがベジタリアン・プラッター。大きな皿に豆、米、タンポポの葉、サラダなどがそれぞれ中東のスパイスで料理されているものが並んでいます。そのお皿のふちをなぞるようにして振りかけられているのはたっぷりのパセリ。う、美しい。ランとわたしでシェアしました。しもちゃんは海老のレモンあえみたいなもの。まんなかに炒めたお米が乗ってます。これは少し食べさせてもらったけどひどく美味しかった。もうひとりのジュリアちゃんは、ラム肉と野菜が薄い生地で包まれたようなもの。そしてべジー・プラッター、すごい美味しさです。寒い日に外を歩くと「寒い」「寒い」しか言葉が出ないときがあるように、このときはただ「おいしい」「おいしい」としか言えなかった。
そうやってほくほくしながらゆっくりとした時間をすごして、デザートの時間がきました。このクナッファ食べるために来たから、おなかいっぱいになり過ぎないように、と何度自分に言い聞かせたことか。。。まあるい鉄の平たい鍋に入って、綺麗なオレンジ色のクナッファが登場しました。4等分に切っていただいて、ここは鉄人自ら取り分けます。。。




わぁっ
Knafah, Knafe



最後になりますが、帰り際、ウェイターさんに、ここのレストランはもともとどちらの人が?って聞くと、オーナーでシェフでもある方はパレスチナ人の女性だという。で自分はレバノン人だけど。って。あーそうかー、ありがとう。また来るよ。と一言告げて店を出た。そこで、ランは自分の故郷のような味でとてもとても美味しかった。って言いたくてしょうがなかったんだけど言えるわけがなかったって。
こんなにおいしいものを食べられて嬉しかったのと同時にとても胸が苦しくなる。食べ物っていう、こんなにもシンプルな形で。